紋章と伯爵の冠付のマルセイユ刺繍、別名ピクール・ドゥ・マルセイユ、後のブティです。几帳面でストイックなマルセイユ刺繍から一変して繊細でありながらフワっとした印象の優美な手工芸品です。
大胆な椰子におおわれた美しい紋章から読み解くと、フランスのジネストゥー・ド・モンダルディエ家のジネストゥ伯爵 /Anne Eugène Louis (1763 - 1823) のモノグラムということがわかります。四隅のコーナーには頭文字であるAELのモノグラム、中央にはジネストゥー・ド・モンダルディエ家の紋章、それぞれに伯爵の冠が装飾され、冠の真珠には射抜かれたハート、十字架、星、雪、山等が描かれています。周囲には上質リネンに小さな花刺繍のフラウンスが縫い付けられています。
こちらの作品にはランニングステッチが全く見られません。代わりに返し縫いと極小のフレンチノットを加えている点、すべてのラインに縄目効果を得ている点が興味深いです。これらの工夫で豊かな表情が加わり格上の寝室調度品となっています。
※ベッドを覆いかぶせるようなサイズではないのでベッドカバーやトップシーツの上に置くベッド上の装飾品と思います。