1770年頃の聖杯ベール。鳥と花をモチーフに、金糸と絹糸で豪華に刺繍、周囲には固い金銀糸によるボビンレース。絵画のように色が混ざり合った美しい色あいの18世紀らしい刺繍やところどころに施された硬い金属刺繍がパネルに威厳を与えています。べースは緑色のシルク、薄いピンクの裏地付。
花びらの面を埋めている糸の筋を見ていただくと、糸がバラけず、まるで平らな帯のように並んでいます。これが「撚りがない」フロス糸の最大の特徴です。光を面で捉えるため、中心部の色の移り変わりが非常に滑らかに見えます。
ポルトガルはカトリック信仰が深く根付いた国であり、18世紀の教会や修道院は芸術の中心地。聖杯ベールは、教会のミサで使われる典礼用品の一つで、東方交易から影響を受けた絹地に金糸や色糸刺繍のものが多いです。
経年劣化でしみがあったりしわも多いので仕立て直しても良さそうです。一コマずつ額装するのも楽しい。図案収集、復元、研究資料に。
Date / Era:
1770年、カステロ・ブランコ/ポルトガル
Medium:
シルクとメタリック刺繍、ボビンレース
condition:
緑絹地:地布に水シミ2箇所とごく薄い変色あり。刺繍部分は良好